対戦ゲームっていいよな

対戦ゲーム、麻雀の攻略。それらの上達に役立つ知識の共有がしたい。

ときど本 努力2・0 書評

ときどさんの2冊目の本です。

1冊目の本は自叙伝に近く、今回の本はノウハウと自分語りをブレンドした内容になっています。

ときどさんのペルソナを理解している方が内容は入りやすいので、『東大卒プロゲーマー』を読むか情熱大陸を視聴してから『努力2・0』を読むと良さそうです。

 

◆本の構成◆

面白い導入

導入部分はスト4以前に結果を出しまくっていたときどさんが、スト4以降に努力の方向性を変えた理由について書かれています。

対戦ゲームの昔と今についてこれほど理路整然と書かれている文章は聞いたことはあれど見たことは無いので、この部分だけでも300円くらいの価値があります。

 

タイトルの意味

努力2・0というのは、過去にときどさんがしていた努力、一般の人が想像するような苦労を伴う努力のイメージを1・0とするなら、挫折を乗り越えて取り組み方を変えた今のときどさんの努力は「2・0」にアプデされているというものです。

 

内容について

ときどさんの努力2・0を6つの要素に分解し、それぞれについて解説していくのが『努力2・0』の内容となっています。

文量はさほど多くなく、難しい言葉をわざわざ誰にもわかる言葉に書き換えている工夫が見受けられました。

ノウハウにあたる部分もときどさんが勉強しているのか、トレーナーがいるのかは不明ですが、科学的根拠に基づいている部分が多く、それってときどさんだからできるんじゃないの?という疑問を持たれないようなまとめ方がされています。

 

◆書評◆

結局買いなの?

結論から言えば買いです。

導入部分だけでも300円の価値があります。

また、打撃の当て勘について言語化されているところもあり、そこの部分だけで800円の価値があります。

先述の通り、見やすさ、読みやすさのこだわりも感じられ、全ての文がときどヴォイスで再生可能です。

個人的に満足なのですが、以下ちょっと残念だったところを書いていきます。

 

 

ターゲット設定が壊滅的になされていない

本著で一番残念だった部分です。

ときどさんはメディア露出も多く、東大卒というわかりやすいフックも持っています。

帯に「仕事でも 人生でも ゲームでも」と書かれていますが、この部分に関しては0点です。(ごめんなさい)

この本を手に取る可能性が高い人間は、

①ときどさんのノウハウを得てゲームが上手くなりたいゲーマー

②ゲームはやらないけど、メディアですごい人だと知っていて興味がある非ゲーマー

の2パターンが主だと予想されます。

(③努力の分野に従事している研究者も読みそうかな?と思いますが、薄いターゲット層でしょう)

本著では、①の人が読んだら「もう少し詳しく書いて!」と思うような内容と、②の人が読んだら「ゲーマー向けに書かれていてよくわからないなぁ」と思うような内容が殆どです。

ここは多分ときどさんの心が揺れた部分なんでしょう。

自分と同じように壁にぶつかった対戦ゲーマーの助けになりたい。

自分のやっている対戦ゲームでゲーマー以外の人の助けになりたい。

という思いがあったのでしょうが、厳しいことを言うなら製作スケジュールや文字数などで満たすことのできない要素は切り捨てて、どちらかの層に寄せるべきでしょう。

特に残念なのは、メディアでときどさんを知ったゲーマー以外の人がこの本を取ったとき、「ゲームの知識がないと深く楽しめない本だな」という印象を持たれる可能性が高いことです。

その原因となるのが、ゲーマーが読んで「もっと深く書いてよぅ」と思うような薄い要素であるのが本当に残念です。

ここに関しては、ゲーマー向けの編集は電子書籍(noteでも良さそう)のみ、一般向けの編集は紙媒体と電子書籍のようにしたら良さそうだなと思いました。もしくは一般向けに寄せたうえで、ゲーマー向けの内容は有料配信で本の該当箇所を読みながら深く解説する、みたいなものが出来れば良さそうです。

 

何がノウハウなのかを把握しきれていない

おそらくですが、あらゆる科学的なノウハウを血肉にできているため、これ知ってる人にしか伝わらないのでは?というようなノウハウを軽くスルーしている箇所が多かったです。

どこまでがノウハウで、どこまでがときどさんのペルソナや才能に依存している部分であるのか、その線引きがされておらずごちゃごちゃになっています。

例えば、ときどさんが起床後にノートに書いていることついて書かれている章があるのですが、ノートを机の上に開けっぱなしにしておいていることがさらっと書かれていました。

先程散々ダメ出ししたので、どうして欲しかったのかを兼ねてここについて自分の言葉で書いてみます。

「手間の省略」は何かを習慣化するにおいてかなり効果のある科学的な手法です。

【一般向け】

例えば本を読むことを習慣にしたいなら、途中まで読んだ本はページを閉じて本棚に戻すより、開きっぱなしにしてテーブルの上に置いておく方が良いのです。

仕事帰宅後の自宅、筋トレを習慣にしたいなら仕事に行く前に布団を畳みスペースを作り、筋トレ器具を準備しておくといいですね。

 

【ゲーマー向け】

対戦でわからないことを後で調べることは大切ですが、なかなか習慣になっている人は少ないと思います。

そこでモニター付近やアケコンテーブルにノートを開けっぱなしにしておき、ペンも添えておきます。対戦してる時にわからなかったことや、印象に残っている自身のミスなどは随時ノートに書き込んでいきます。

スマホアプリなどでも良いのですが、開けっぱなしのノートを使用することで記入をする手間、アプリを確認する手間を省略することが出来ます。

そして対戦が終わってからすぐに調べるのが難しければ、アケコンの上にノートを開けっぱなしにした状態でその日の対戦を終えます。

そして翌日、アケコンの上に開けっぱなしのノートを目にしたあなたは、そういやこれ調べとかないとな、と思えるわけです。

 

こんな感じでどうでしょう。

要所でクリティカルなこと書いてるのに知ってる人にしか伝わらないよなぁと感じてしまうのは残念でした。

 

さいごに 本の使い方

読みやすさ、わかりやすさ、(ときどさん本人は否定的ですが)ときどプレミアム感という一番大切な部分をクリアしているので、読んだら元気になれることは間違いなしです。

ときど本を読んで、このノウハウおもしろいな、と思ったら関連書籍、論文を探して自身で深堀りするのが使い方として最適かなと思いました。

さいごになりましたが、悩みながらもダメなところはダメ、と書きました。

俺の書評読む時点でセールストークはみんな期待してないだろうと思ったのでそこは期待に応えようと。

不快に思った方はすみませんでした。

本買ってない人は本買ってください。